てんはち雑記

400と75から1800になり2000

足回り考察

車高調にしてからどうも乗り心地というか突き上げ感が気になったので、ちょっと考えてみることにします。適当なことを言います。全部です。参考にするのはあまり良くない。
突き上げ感てか底づきというかね。バンプタッチかな。

とりあえずサスペンションについて数字で考えてみることにします。インターネットをしているとほぼ共通の計算式が出てきます。

車検証にある前前軸重と後後軸重を見る、それぞれ半分にして一輪あたりにかかる重量を知る、一輪あたりの重量にレバー比を掛ける、レバー比を掛けたものがダンパーにかかる重量となる、ダンパーにかかる重量をバネレートで割ると静止状態でのストロークが出るというような流れです。
うちのロードスターのリアで考えてみましょう。
後後軸重は520kgです、その半分は260kgですね。HKSのサイトによればリアのレバー比は1.17です。260×1.17で304.2です。304.2kgがダンパーにかかる重量だとされます。リアのバネレートは5kgf/mmですから5kgかかるごとにバネは1mm縮みます。304.2÷5で60.84、静止状態で60.84mm縮む計算になります。

で、ダンパーとバネの組み合わせの限界値を、バンプラバーやらなんやらの長さを除いた実際のダンパーの許容ストローク掛けるバネレート割るダンパーにかかる重量で出します。これはバンプラバーに当たるまでにどの程度バネに荷重がかけられるのかという計算だとされます。
ラルグスに聞いたところリアの有効ストローク(バンプラバーに当たりもしないストローク)は80mmと回答して頂きました。80×5÷304.2=1.31です。インターネットでは1.31G掛かるとバンプタッチ寸前というふうになっています。
これはわかりにくいし、そもそもサスペンションに対するGセンサーなんて誰の車にもついてないでしょう。ですから先の数字を持ってくると、有効ストロークが80mm、うち静止状態で60.84mmが縮んでいることから残りの縮みストロークは19.16mmだという計算になります。5kgf/mmのバネを19.16mm縮ませるには何kg必要かと考えると19.16×5=95.8。静止状態の1Gで304.2kgがダンパーに掛かっていることから304.2+95.8で400、400÷304.2=1.31となり、1.31Gの正体が見えて来たでしょう。たぶん。

細かい数字のことは一旦忘れるとして、なんとなくで考えてみると、19.16mmはダンパーの残り縮みストロークです。これにレバー比をかけると19.16×1.17=22.4で、これがホイール側の残り縮みストロークということになります。アホなりに考えるとして、「え?吊るしで22.4mmしかストロークできないのか、そりゃあデカめの段差でも踏めば底づき(バンプタッチ)しそうだなぁ」と思うでしょ、僕はそう思う。

こっからがキモです。

このようなインターネットの計算式には軒並み実測値が欠けているのではないかと感じます。つまり、実車に装着した時点での実際の1Gのストローク量がデータとして載っていないものが多くあります。
幸い、現在のロードスターの車高だとリアはジャッキアップせずとも頭が突っ込めるので、停車時にバネの縮み量が測れます。NCのリアのアッパーマウントは妙な形をしているため、ダンパーのロッド部分のストロークは測れません。測る方法はいくつか思いつきますが、面倒なのでやりません。
ストラット、ダブルウィッシュボーンマルチリンクあたりの車高調はダンパーとバネが一体の構造になってます。ということはバネが遊んでいない限りはバネの縮み量はダンパーの縮み量に等しくなるはずですね。
バネの自由長は180mmです。ダンパーの縮み量=バネの縮み量という考えに則り、先の計算の結果を当てはめると1Gの静止状態ではバネは60.84mm縮み、バネの全長は119.16mmとなっているはずです。

実際の計測結果は直尺を当てての測定ですが、バネの全長は140mmでした。こらぁおかしい訳ですね。約20mm計算とズレがあります。もう20mm縮んでくれないと計算と合いませんね。つまり20×5で、100kgバネに重さが掛かってないということになってしまいます。

ではインターネットサスペンション方程式と現実との不整合点を考えてみましょう。
・そもそも1G締めしてない
これは僕の機材不足でアーム類の1G締めが出来ていないことによるものです。しかしこれはあくまで仮説ですが、ゴムのねじれをイメージした際、純正サスから車高調に変えたことで、アーム類は純正よりも上向きになります。上にねじれたゴムは下に戻ろうとする、ということはバネの縮み不足という現象に対して、ゴムが下から上に持ち上げようとする力をその現象の起因として考えることは適当でしょうか。
ゴムのねじれ云々はともかくとしても抵抗にはなっているかもしれないねということで保留としましょう。
・ゴムのたわみ
アーム類のゴムブッシュもブニブニ弾性を持ってるわけなので、それ自体がダンパーと同じく重さを受け止めちゃってるのではないかということですね。他に、タイヤのたわみもあります。タイヤが車重を受け止めることでたわみ、ダンパーの縮みも減るのではないかということです。
・これは僕の計測方法の場合ですが自分ちの駐車場は微妙に傾斜してるため、微妙に前に荷重が乗ってるのではないかという
・車検証の軸重はバネ下重量を含んでるので、バネに実際に掛かってない重さまでも計算の結果に含まれている

インターネット方程式ってサスペンションアームのブッシュがピロとかゴム以外の一切たわまない素材で、かつタイヤはリムがそのまま着地みたいな状態においてのみ、バネ下重量の誤差を残して正解となるのではないのかな〜と思います。

さらに、レバー比関連は通常てこの原理を元に説明されます。てこの原理のうちでも真ん中に支点があって一方が作用点、反対側に力点という第一種てこではなく、左側サスペンションならば左から力点、作用点、支点という第二種てこになります。
つまりタイヤ、サスペンション、アーム取付部という並び。ダブルウィッシュボーンでロアアームにサスペンション下側取付部が組み付けられる場合は、ほぼ一直線上にこれらの3要素が並ぶわけですね。

例としてレバー比1.5のダブルウィッシュボーンの何かがあるとします。バネは9kgf/mmとしましょう。ホイールからロアアーム取付部までの長さはダンパー取付部からロアアーム取付部までの長さの1.5倍です。てこの原理を用いて考えれば9kgf/mmのバネが1mm縮んだとき、ホイールは1.5mm縮みます。9kgのバネを1mm縮めるためにホイール側で1.5倍の仕事(ストローク)をしているので9÷1.5で6、ホイール側に6kgかかるごとに1.5mm縮みますから6kgf/1.5mmのバネが仮想のバネとしてホイール側にあることになり、ホイール側では6kgあたり1.5mm縮むことから仮想のバネを1mmあたり4kgのバネと言い換えることができます。
まあここらへんはホイールレートとかホイールばね定数と言うやつで今回の言いたいこととは違いますが、概念として覚えてください。等価交換だというふうに理解すればいいと思う。

ダブルウィッシュボーンの場合、「一直線上にある」と仮定できることからこのように計算ができますが、NCのマルチリンクの場合、サスペンション下側取付部はロアアームとつながるのではなく、ナックルから生えた部分に取り付けられます。ということは一直線上にホイール、サスペンション(車高調)、アーム取付部があるという前提が崩されることになり、てこの原理をそのまま当てはめて良いのか?という疑義が自分の中で起きます。
さらに、てこの原理では通常力点と作用点に発生する力の方向が水平な図で表されますが、サスペンションはホイールと完全に並行に生えているわけではないですよね。ということはホイールのストロークとサスペンションのストロークが並行じゃないということになり、てこの原理の力の方向についても…

てこの原理にはモーメントアームというものがあるので、そもそも単純なレバー比をもって計算してもいいのか…いやモーメントアーム持ち出していいのか…
レバー比の算出方法自体もちょっと疑問というか、レバー比をてこの原理にそのまま当てはめて良いものなのか、車高の変化量の係数としてのレバー比ならばそれは…

リアの比べるとフロントのほうが理論値との開きは小さくなる…ような気もするので、まあそれもおいおい…
何も解決してないですが、沼なので仕方ないと思う。
こうしてサスペンションの沼は深く…

おわり